【8月5日 AFP】米女子プロバスケットボール(WNBA)のブリトニー・グライナー(Brittney Griner)選手がロシアで禁止薬物密輸の罪で懲役9年の有罪判決を下されたことを受け、所属先のフェニックス・マーキュリー(Phoenix Mercury)は4日、試合前に対戦相手のコネティカット・サン(Connecticut Sun)と円陣を組んで42秒間の黙とうをささげ、グライナー選手に連帯を示した。

 42秒という数字はグライナー選手の背番号42にちなんだもので、両チームの選手とサンの本拠地モヒガン・サン・アリーナ(Mohegan Sun Arena)に集まったファンの中には、涙を流す人もいた。黙とうの最後には「彼女を帰国させろ!」とのチャントが飛んだ。

 グライナー選手はこの日、大麻オイルが含まれる吸引カートリッジを密輸した罪で、ロシアの裁判所で懲役9年の有罪判決を言い渡された。米国政府はこれまで、グライナー選手がロシアで不当に拘束されていると主張している。

 マーキュリーのヴァネッサ・ナイガード(Vanessa Nygaard)ヘッドコーチ(HC)は試合前、この事態を予測していたとはいえチームのスター選手であるグライナー選手が鉄格子の中から証言している姿にチームは打ちのめされたと明かした。

 また、ロシアの裁判では無罪率が低いことから「こうなると分かっていたし、私たちは覚悟していた」と話し、「ロシアの司法システムに期待はしていなかった」と語った。

 今回の判決は米国内で「不当」だと広く非難されており、米政府に対してグライナー選手の帰国を懇願する声が上がっている。

 マーキュリーは、グライナー選手の件で「心が張り裂けている」とする一方で、政府が「不当な拘束を終わらせるよう手だてを講じてくれるはず」と信頼を寄せた。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は判決を受け、グライナー選手を送還させるべく「あらゆる可能な手段を探る」と明言している。(c)AFP/Rebecca Bryan