【8月3日 CNS】中国では2019年から始まった宅配業界の価格競争が収まりつつある一方、配達員の収入が上がる気配はない。

 宅配業界では、極兔速逓(J&T)などの新規業者の参入によって値下げ合戦が引き起こされた。世界有数の生活用品卸売市場がある浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)では「全国一律、1件8元(約158円)で配達」という「出血価格」が打ち出された。「仕事をすればするほど損する」状態でも業界のシェアを奪うことが重要だった。

 宅配企業の収入は減少を続けた。2020年10月、順豊エクスプレス(SF Holding)、申通快逓(STO Express)、韻達(Yunda Express)、円通(YTO Express)の各社の注文1件当たりの収入は前年同月比で20〜30%減となった。

 中国政府や各自治体は2021年半ば、業界の過剰な競争を抑える方針を次々と発表。宅配企業にコストを下回る価格で配達をしないよう求めた。効果はすぐに現れ、2021年後半から価格戦争は減速し、2021年11月から各社の注文当たりの収入は増加に転じた。

 宅配ビジネス専門家の趙小敏(Zhao Xiaomin)さんは「業界の極端な価格戦争は終わった。長期的に見て、配達価格は下落することなく、上昇ルートに入る」とみている。

 政府は価格競争の是正策を講じる中、配達員の権利と利益の保護も重視した。これを受けて2021年8月末、中通、円通、申通、百世、韻達、極兔速逓の6社は翌9月1日から配送料を1件につき0.1元(約1円)引き上げると発表した。しかし、1年近くが経過して配達料金は上昇しても配達員の収入は目立って増えていない。

 趙さんは「質の良いサービスを提供するには配達員の収入の保証が必要。そうしなければ宅配を巡る客の不満が解決しない」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News