【8月2日 AFP】米国はアフガニスタンで国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者アイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者を2発のミサイルで殺害した。だが、現場に爆発の形跡がなく、他に犠牲者は出ていないと発表されていることから、弾頭(弾薬)の代わりに6枚の刃を備えたミサイル「ヘルファイア(Hellfire)R9X」が使用されたとみられている。

 R9Xは「忍者爆弾」とも呼ばれ、展開した刃で標的を切り裂き、爆発はしない。

 R9Xは2017年3月、シリアを車で移動中だった国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)幹部のアブ・カイル・マスリ(Abu Khayr al-Masri)容疑者を無人機で殺害した時に初めて使われたとされる。ただし、過激派の指導者を暗殺することで知られる米国の国防総省や中央情報局(CIA)が公式に認めたことはない。

 マスリ容疑者の車の写真では、屋根に大きな穴が開き、金属部分や車内、同乗者が切り刻まれていたが、前部と後部は全くの無傷のようだった。

 それまで、標的を絞った無人機攻撃で使用されるヘルファイアミサイルは、爆発力が強く、巻き添え被害を起こしやすいことで知られていた。2017年以降も同様の被害が数件確認されている。

 謎めいていたR9Xの詳細が漏れると、「空飛ぶギンス(Ginsu)」の異名を取るようになった。ギンスとは、アルミ缶をすぱっと切っても切れ味が落ちない包丁のことで、1980年代のテレビCMで有名。

 R9Xは、民間人の犠牲を出さずに過激派組織の指導者を殺害する作戦で米軍に使われており、ザワヒリ容疑者の殺害作戦にも投入されたとみられている。

 米高官は記者会見で、現地時間7月31日朝にザワヒリ容疑者がアフガンの首都カブールの自宅のバルコニーに一人で立っていたところを米無人機からヘルファイアミサイル2発で攻撃したと説明した。

 ザワヒリ容疑者の自宅とされる写真では、ある階の窓が吹き飛んでいるが、他の階の窓など建物の他の部分に被害は出ていない。

 同高官は、ザワヒリ容疑者の家族は在宅していたが、「意図的に標的から外しており、被害も受けていない」と主張。民間人の犠牲者が出たことを示す兆候もないとしている。(c)AFP