【7月29日 CNS】アニメは文化の「鏡」として、世界中の人々、特に若者に愛されている。『ドラえもん(Doraemon)』『SLAM DUNK(スラムダンク)』『ONE PIECE(ワンピース)』などの日本アニメの名作は、多くの中国の視聴者にとって幼少期の思い出となっている。『西遊記 鉄扇公主の巻(英題:Princess Iron Fan)』『大暴れ孫悟空(英題:Havoc in Heaven)』などの中国の優れた作品も、日本アニメに大きな影響を与えた。

 岩波書店の元編集長で、北京大学(Peking University)外国語学院日本語学科の外国人専門家である馬場公彦(Baba Kimihiko)氏は、中国と日本は一衣帯水で、交流の歴史も長く、文化の価値観や社会環境が似ているため、欧米よりも中国で日本アニメの人気がより受け入れられているとみている。

『ドラえもん』『スラムダンク』『名探偵コナン(Detective Conan)』などの日本のアニメは、テーマや内容などの面で、熱血、かわいらしさ、サスペンス、面白さなど、さまざまな要素がみられ、それが中国の子供たちに好まれる理由になっている。

 同時に、日本のアニメは一部の大人、特に若者をも魅了しており、これは中国と日本が文化的、社会的なレベルで共通性を持っていることを反映している。中国と日本の文化消費を支える都市中間層は、ライフスタイルや消費行動の面で比較的類似している。さらには、晩婚化、シングル化、DINKS(ディンクス、子供のいない共働き夫婦)など社会環境も似ており、高齢化などの問題にも直面している。これらの共通点から、両国の若者は共通のアニメ「言語」を生み出しやすいのだ。

 馬場氏は、中国の文化やアニメが日本のアニメに微妙な影響を与えていることを、日本は認識する必要があるとみている。中国と日本の文化的な結びつきは深い。1983年に誕生した日本の漫画『北斗の拳(英題:Fist of the North Star)』は、ブルース・リー(Bruce Lee)の1973年のカンフー映画『燃えよドラゴン(英題:Enter the Dragon)』の影響を明らかに受けている。中国の「三国志」をテーマに、日本の漫画家・横山光輝(Yokoyama Mitsuteru)氏は漫画『三国志(Sangokushi)』などを制作した。

 歴史的な観点から見ると、中国のアニメは独自の優れた伝統を持っている。米のディズニー(Disney)アニメとは異なり、中国の名作アニメの多くは、伝統的な文化的要素を豊富に盛り込んでいる。

 現在、中国アニメは急速な発展期にあり、市場も多様化し、最近の作品は日本の視聴者を引き付けているものもある。中国アニメ『天官賜福(英題:Heaven Official's Blessing)』は、2021年に日本で放送された。アニメ『盜墓筆記(英題:The Lost Tomb)』『一人之下(英題:Under One Person)』『羅小黒戦記』の日本語字幕版、吹替版も日本で好評を博している。

 中国のアニメは、アメリカのハリウッド(Hollywood)映画や日本・韓国のアニメの影響を受け、制作技術が向上し、業界内の人材も日増しに充実してきてはいるものの、自国の豊かな歴史的・文化的土壌を引き続き活用していく必要もある。

 アニメは多くの人が協力し合う集団アートだ。中国には十分な人材と資本、強力な組織力を持つ企業が多く、日本にはアニメ制作において豊富な経験と高度な技術があるため、両国は共同制作を強化すべきだ。今後も両国による共同制作、優れたアニメ作品の誕生に期待しており、これらの作品がより多くの国の視聴者に愛されることを望むと、馬場氏は述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News