【7月29日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で4度の年間優勝を誇るアストンマーティン(Aston Martin F1)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)は28日、今シーズン限りでのF1引退を発表した。

 35歳になるベッテルは、チームの発表の中で「引退は難しい決断だった。それを考えるのに長い時間を費やした。1年が終わるタイミングでもっと時間を取り、次に専念すべきことを熟考したい。父親として家族とより長い時間を過ごしたいというのははっきりしている。だが、きょう重要なのは別れを告げることではない」とコメント。

「むしろ皆さん、とりわけファンに感謝を伝えるのが大切だ。熱心な応援がなければフォーミュラワンは存在し得ない」と述べた。

 ベッテルは2007年の米国GP(United States Grand Prix)でBMWザウバー(BMW Sauber)からF1デビューし、レッドブル(Red Bull)時代の2010〜13年に総合4連覇を達成。しかし、その後に移籍したフェラーリ(Ferrari)や昨年加入したアストンマーティンでは、全盛期のような成績をなかなか残せていない。

 2019年のシンガポールGP(Singapore Grand Prix 2019)を最後に優勝から遠ざかっているが、F1通算53勝は同103勝のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)、同91勝のミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏に次いで史上3位の記録となっている。

 また、アラン・プロスト(Alain Prost)氏と並ぶ年間優勝4回は、最多7回のハミルトンとシューマッハ氏、5回のファン・マヌエル・ファンジオ(Juan-Manuel Fangio)氏に次ぐ数字となっている。

 カナダ人の資産家で、アストンマーティンの会長を務めるローレンス・ストロール(Lawrence Stroll)氏は「彼はフォーミュラワンで最も偉大な一人。一緒に働くことができたのは光栄だった」とコメントした。

 ベッテルのチームメートを務めるランス(Lance Stroll)の父親でもあるストロール氏は「彼は、通算300戦目のエントリーとなる2022年のアブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2022)までレースを続ける。素晴らしい形で送り出す」と続けた。

 3児の父であるベッテルは、環境問題や社会問題への活動でも広く知られ、先日にはF1ドライバーとして初めて、英国を代表するゲイ雑誌アティチュード(Attitude)の表紙を飾った。(c)AFP