【7月29日 CNS】中国・重慶市(Chongqing)巴南区(Banan)にある屋敷が、4年間の修復作業を経て100年前の外観を取り戻し、「学苑書院」と名付けられて一般公開された。

 重慶で商人をしていた朱家の建物で、最初に清王朝の同治5年(1866年)に建てられ、中華民国の時代に現存の三進院落(三方向に建物や垣根があり、中心に中庭がある)構造となった。敷地面積は5549平方メートル、建築面積は3606平方メートルの広さがある。

 建物は交通の便の悪い山間部にあり、工事は困難がつきまとった。工事は「古い建物は古いまま修復する」という考えに基づき、できる限り建物の原材料を生かしながら作業を続けた。作業は、民間の学苑出版社と河南華磊古建集団(Henan Hualei Ancient Construction Group)が共同で行った。民間組織による修復について、重慶市文物局の幸軍(Xing Jun)局長は「非常に意義があり、この経験は今後広い範囲に生きていく」と話す。

 2012年に発表された第3回文化財国勢調査によると、中国には約77万か所の文化的構造物があり、保存状態が悪いものも少なくない。行政の力だけではカバーしきれず、民間組織の協力が求められている。約2万8000か所の伝統建築がある山西省(Shanxi)では、企業や個人から資金を募り、専門家グループが修復作業をする方式を導入している。

 中国国家文物局は最近の10年間、伝統建築の保護に関するガイドラインや指針をまとめ、各地の修復作業を促進している。業界関係者は「伝統的建物を修繕した後に、有効活用することも必要だ」と指摘している。(c)CNS/JCM/AFPBB News