【7月28日 AFP】カナダを訪問しているローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)は27日、ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相や先住民出身のメアリー・サイモン(Mary Simon)総督らを前に演説し、カトリック教会が運営していた寄宿学校でかつて横行していた先住民の子どもに対する虐待について重ねて謝罪した。

 教皇はケベックシティー(Quebec City)で演説し、寄宿学校での同化政策に関して「深い恥と悲しみ」を改めて表明。「多数のキリスト教徒が先住民に対して行った過ちについて再び許しを請いたい」と語った。

 教皇はまた、かつての「植民地主義精神」を否定。ただ「今日においても、現実にそぐわず、人々の自然な価値観を抑圧し、伝統や歴史、宗教的な結び付きから人々を引き離そうとするイデオロギーの植民地化がさまざまな形で存在する」と指摘した。

 一方で多文化主義をたたえた教皇は、先住民の権利拡大と、「癒やしと和解に向けた、忍耐を伴う友愛の旅を続ける」ことを約束した。

 カナダでは1800年代後半から1990年代にかけ、同化政策の一環として、先住民の子ども約15万人が、カトリック教会が運営する国内139か所の寄宿学校に送られた。多くの子どもが教職員から身体的、性的虐待を受けたほか、病気や栄養失調、ネグレクトによって数千人が亡くなったとみられている。

 教皇は29日までカナダに滞在し、各地を訪問する予定。(c)AFP/Clement Melki