【7月27日 AFP】ハンガリーのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相(59)が「欧州人以外」との混血に否定的な発言をしたのを受け、ユダヤ人コミュニティーの間に反発が広がっている。

 超保守派のオルバン氏は24日、多数のハンガリー人が居住する隣国ルーマニアのトランシルバニア(Transylvania)地方で演説。「われわれは混血民族になりたくない」と述べた。

 専門家によると、オルバン氏は反移民姿勢が強いことで知られ、過去にも似たような発言をしているが、ハンガリー語の「人種・民族」に当たる言葉を使ったのは今回が初めて。

 これに対し、国際アウシュビッツ委員会(IAC)は26日、オルバン氏の発言について「愚かで危険」と批判。欧州連合(EU)に対し、「オルバン氏の内面にある人種差別的な考え」から距離を置き、「欧州ではオルバン氏に未来がないことを世界に示す」よう求めた。

 IACのクリストフ・ヒューブナー(Christoph Heubner)副委員長はAFPに宛てた書面で、オルバン氏の発言はホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)の生存者に「排斥・迫害された暗い時代」を思い起こさせると述べた。

 一方、ハンガリー政府のコバーチ・ゾルタン(Zoltan Kovacs)報道官は、オルバン氏の発言は「ユダヤ・キリスト教文化圏内での異なる民族同士の混血と、異なる文明圏出身者との混血の違いを理解していない人々に誤って受け止められた」と説明した。

 オルバン氏は同じ演説で、EUの天然ガス使用量を15%削減する計画について、ナチス・ドイツ(Nazi)がユダヤ人虐殺のために使ったガス室に暗に言及して批判した。(c)AFP