【7月28日 東方新報】中国政府は中古車市場の活性化に本腰を上げている。地域をまたいだ自家用小型中古車(排ガス基準の「国5標準」を満たす車両)の取引制限を、8月から全面撤廃。10月からは自動車販売企業が自動車登記の移転手続きを申請する際、臨時のナンバープレートを発行する。

 中国は2009年に自動車の生産・販売台数で米国を抜いて以降、昨年まで13年連続で世界一の座を守っている。一方、昨年の新車販売台数2627万5000台(前年比3.8%増)に対し、中古車の販売台数は1758万5100台(前年比22.6%増)。中古車販売台数の伸び率は高いが、まだ新車販売台数の46%にすぎない。日本や米国、ドイツなど成熟した市場では中古車の販売台数が新車を上回っている。中国は市場としては世界一だが、市場構造はまだ発展途上と言える。

 それだけに今後の「のびしろ」は多く、中国自動車流通協会の沈進軍(Shen Jinjun)会長は「中古車販売政策が着実に実行されれば、販売台数で中古車は1~2年以内に新車に並び、さらに追い抜くことになる」と歓迎している。

 中国で中古車の地域間取引に制限があるのは、かつては中古車の正規の車検基準がなかったため品質にばらつきがあったことや、地域で排ガス基準が異なること、さらに各地で地元の新車市場を守ろうとしたためなどが要因といわれている。

 近年は車両の品質が向上して排ガス基準も整ってきており、インターネットの普及により大規模な中古車市場のプラットフォームが構築されている。地域間取引の制限を撤廃する機は熟していた。政府としては制限撤廃を通じて、現在は仲介業者が主体の中古車取引に自動車メーカーの参入を促し、市場構造のグレードアップを図る狙いもある。

 中国の新車販売台数は2017年の2887万9000台をピークに、2020年まで3年連続で減少している。前述の通り2021年は4年ぶりに前年比プラスに転じたが、販売台数では2017年より260万台少ない。

 中国ではコロナ禍により冷え込んだ消費の回復を図るため、乗用車の車両取得税の減免や農村向け新エネルギー自動車(NEV)の普及などの措置を相次いで発表。中国メディアは「中古車市場の活性化も、老朽化した車両の淘汰(とうた)や買い替えによる新車の販売増加を狙いとしており、さらに自動車のメンテナンスや保険、金融産業への波及効果も期待している」と解説している。(c)東方新報/AFPBB News