【7月27日 AFP】チュニジアで25日に行われたカイス・サイード(Kais Saied)大統領の権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票について、投票管理当局は26日夜、賛成が94.6%に達したとの暫定結果を発表した。野党がボイコットを呼び掛けたこともあり、投票率は30.5%にとどまった。

 2011年に中東で広がった民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」で唯一の成功例とされたチュニジアでは昨年7月25日、サイード氏が民主化に逆行する形で首相の解任と議会の停止を発表した。

 独裁政治の復活が懸念される一方で、サイード氏による権限強化の動きは、インフレ高進や高い失業率、政治腐敗にうんざりした一部の国民からは支持された。

 投票締め切り後、サイード氏は支持者を前に「チュニジアは新たな局面を迎えた」と語った。

 改憲案は大統領に対し、議会の承認なしに首相を指名する権限を与える一方で、大統領の罷免を事実上不可能とするなどの内容。米国務省は26日、「新憲法はチェック・アンド・バランスを弱め、人権と基本的自由の保護を損なう恐れがある」と指摘した。

 野党は、サイード氏の影響下にある投票管理当局に開票を任せるのは「不正」であり、投票は失敗に終わったと非難している。(c)AFP/Aymen Jamli and Paul Raymond