【7月27日 AFP】国際通貨基金(IMF)は26日、最新の世界経済見通し(World Economic Outlook)で、インフレ急進と米国と中国での深刻な景気減速を受け、今年と来年の成長率を4月の前回見通しから下方修正した。状況はさらに悪化する恐れがあると警告している。

 今年の成長率予測は、前回見通しから0.4ポイント低い3.2%で、昨年と比べて約半分となった。来年の成長率は0.7ポイント下方修正し、2.9%と予測した。

 IMFのピエールオリビエ・グランシャ(Pierre-Olivier Gourinchas)経済顧問兼調査局長は会見で、見通しは4月以降、著しく暗転していると指摘。「前回の世界的景気後退からわずか2年で、世界は間もなくその瀬戸際に再び立たされるかもしれない」と述べた。

 IMFは、新型コロナウイルスの世界的流行のために弱体化していた世界経済が、ロシアによるウクライナ侵攻のために引き起こされた世界的な食料・エネルギー価格高騰や、これに伴う中央銀行による急激な利上げなどで打撃を受けたと指摘。

 今後、ロシアから欧州へのガス供給が停止されたり、物価上昇や食料危機がさらに加速したりすれば、インフレの高進を伴う景気後退「スタグフレーション」を引き起こす恐れがあり、その場合、来年の成長率は2.0%まで減速すると予測した。1970年以降、世界経済の成長率が2.0%を下回ったのは5回のみという。

 IMFは、各国の今年の成長率予測を軒並み下方修正。今も続くコロナによるロックダウン(都市封鎖)と不動産危機の深刻化によって経済が失速した中国は1.1ポイント低い3.3%、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げで経済成長が鈍化した米国は1.4ポイント引き下げ2.3%とした。

 ユーロ圏は0.2ポイント下方修正し2.6%、日本は0.7ポイント低い1.7%となった。(c)AFP/Heather SCOTT