【7月26日 AFP】満員のポール・リカール・サーキット(Paul Ricard Circuit)でレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)が優勝を果たした22F1第12戦フランスGP(France Grand Prix 2022)決勝から一夜明けた25日、同GPを含む欧州の伝統あるレースの今後が不透明な状況にあることが分かった。

 F1が格式ある伝統的なレースを廃止、もしくはローテーションで開催し、その代わりに米ネバダ州ラスベガス(Las Vegas)を含む「国際的」大都市の市街地サーキットでGPを開催するという計画に対する大きな懸念が、前週末のパドックの話題をさらっていた。

 世界王者のフェルスタッペンはレース前、25レースでの開催も提案されている来年のカレンダーからベルギー・アルデンヌ(Ardennes)にあるスパ・フランコルシャン(Spa-Francorchamps)といった伝統的なサーキットが削除されるかもしれないことに対して、他の選手と共に異議を唱えていた。

 F1の興行主である米リバティメディア(Liberty Media)が、新たな未来を切り開き、過去から脱却して新規の若年層をターゲットとしているため、モナコGP(Monaco Grand Prix)やイタリアGP(Italian Grand Prix)といった他の伝統あるレースも除外の候補に挙げられているという。

 今季の総合順位で首位に立つフェルスタッペンは「2028年頃の自分が、ファンとのつながりとかそういったことだけのために、街に近い市街地サーキットだけでドライビングしている姿は見たくない」とコメントした。

「誰もがもうけたがっていることは理解しているが、ストリートサーキットでドライビングするのではなく、こうした本当にかっこいいサーキットをカレンダーにとどめることが重要だから、それに関しては限界もある。F1のマシンはストリートサーキットのために設計されていないと思う」

 今年のフランスGPが最多動員を記録したことを受け、レースプロモーターを務めるクリスチャン・エストロジ(Christian Estrosi)氏が、来年の同GP除外について「諦めていない」と述べたことで、古くからのF1ファンに希望が与えられた。

 エストロジ氏は「われわれは議論のさなかにあり、諦めてはいない。この国が、壮大で人気のあるスポーツ大会であるこのフランスGPを取り戻すのを目の当たりにした。今後数週間のうちに、将来のGPに関してこの上なく前向きな内容を発表できると確信している」と述べた。

 ラスベガスや米フロリダ州マイアミ、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、サウジアラビアのジッダ(Jeddah)といった、新たな都市の参入による開催費高騰で、世界選手権が創設された1950年にもレースが行われたフランスやベルギー、イタリア、英国、モナコでの開催は近年危ぶまれているとうわさされている。

 2018年に10年ぶりにF1のカレンダーに組み込まれてから、フランスGPが1レースあたりおよそ2000万ドル(約27億3000万円)の開催料を支払っているのに対し、サウジアラビアは5000万ドル(約68億2000万円)を納めていると報じられている。(c)AFP