【7月25日 東方新報】中国各地の街並みでは今、人影が少なくなっている。コロナ禍の影響ではなく、歴史的な猛暑が続いているためだ。

 世界的なラニーニャ現象により中国でも6月から猛暑が始まり、7月から本格化。浙江省(Zhejiang)麗水市(Lishui)では7月6日、作業中の49歳の男性が突然倒れて意識を失った。病院に運ばれた時の体温は40.7度で、多臓器不全などで8日に亡くなった。四川省(Sichuan)でも7月10日に熱射病の患者が死亡した。

 上海市では7月13日、1873年から始まった観測記録の中で最高となる40.9度を記録。河北省(Hebei)の3都市と雲南省(Yunnan)の1都市では44度を超えた。中国で最も暑い「三大かまど」の一つに数えられる内陸部の重慶市(Chongqing)は7月10日から連日40度超えが続いた。同市沙坪壩区(Shapingba)では1日の最低気温が13日は早朝の33度、14日は34.2度で、「最低気温の最高記録」を連日更新した。市民からは「この暑さは『かまど』どころか『溶鉱炉』だ」と悲鳴が上がっている。

 江蘇省(Jiangsu)ではエアコンを付けずに室内にいた独り暮らしの高齢男性が暑さで倒れ、病院に運ばれた時の体温は41.5度だった。同様の被害は多く、SNSでは「エアコンを嫌う独居老人」がホットワードになった。

 24時間以内に40度超えが予想される際に警戒を呼びかける「赤色高温警報」が全国各地で出されており、人口の6割を超える9億人が熱波の影響を受けている。

 酷暑を避けようと、エアコンや冷蔵庫、クーラーボックス、冷感スプレーなどが売れている。市場調査を手がける中国奥維雲網(All Viw Cloud)によると、6月27日~7月3日の1週間でエアコンの売り上げはオンライン上が前年比82%増、実店舗で9%増となった。オンラインでの購入が急増したのは、「エアコンを買いに行く時でも外出したくない」という市民の心理が垣間見える。

 熱射病の被害は、工事現場の労働者、デリバリーの配達員、防護服を着たPCR検査の医療従事者など、つらい環境でも働かざるを得ない人々が目立つ。酷暑は8月も続き、異常気象による洪水や干ばつが例年より多く発生すると予想されている。コロナ禍が抑制されても猛暑が人々を襲い、自然の猛威に振り回される状況が続いている。(c)東方新報/AFPBB News