【7月25日 AFP】ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相の後任を選ぶ与党・保守党党首選で最終候補に残ったリシ・スナク(Rishi Sunak)前財務相は24日、中国を英国と世界の安全保障上の「第一の脅威」と呼び、次期首相に選ばれた場合、中国に対し厳しい姿勢で臨むと約束した。

 決選投票を争うリズ・トラス(Liz Truss)外相は、スナク氏の中国・ロシアに対する姿勢を弱腰と批判している。

 中国共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報(Global Times)は先に、スナク氏を「英中関係の発展について明確で現実的な見解を持つ唯一の首相候補」と報じていた。

 こうした中、スナク氏は英国内に30か所ある孔子学院(Confucius Institute)をすべて閉鎖し、文化・言語プログラムを通じた中国のソフトパワー拡大を阻止することや、高等教育機関に5万ポンド(約820万円)を超える海外からの資金提供情報を開示させ、研究協力活動も見直して「中国共産党を英国の大学から追い出す」ことを約束した。

 また、英情報局保安部(MI5)を中国のスパイ活動対策に活用し、サイバー空間での中国の脅威に対処するため「北大西洋条約機構(NATO)型」の国際協力の仕組みを模索すると表明している。

 戦略的に重要なハイテク関連などの企業については、中国資本による買収禁止も検討するとしている。

 スナク氏は、中国が英国内で「技術を盗み、大学に浸透している」と主張。国外では、ロシア産原油を購入してウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領を支え、域内では台湾などを脅し、「一帯一路(Belt and Road)」構想で「途上国に計り知れない負債を負わせている」と非難した。

 さらに、「新疆(ウイグル自治区、Xinjiang Uighur Autonomous Region)や香港などで自国民を拷問、拘束、洗脳し、人権を侵害している。また、自国通貨高を抑制することで世界経済を自国に有利に操作してきた」と批判。

「もうたくさんだ。英国と西側諸国の政治家はあまりにも長い間、中国の邪悪な活動や野心に目をつぶってきた」「首相就任初日からこれを改める」と述べた。

 こうした強い言葉が保守党の対中強硬派を喜ばせるのは間違いない。だが、世論調査ではトラス氏の支持率が大きく上回っており、スナク氏が追い詰められている兆候でもある。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD