【1月14日 AFP】英情報局保安部(MI5)は、中国の工作員とみられる女性が英議会に対し、献金を通じて「政治的な影響力行使」に関与していると警告した。当局が13日、明らかにした。

 リンジー・ホイル(Lindsay Hoyle)下院議長の事務所は、MI5と協議の上、この警告を議員に電子メールで送付したと認めた。

 在英中国大使館は「わが国に外国の議会における『影響力を買収によって獲得』する必要はなく、決してすることはない」「英国の中国人コミュニティーに対する中傷・脅迫工作に断固抗議する」として疑惑を否定した。

 ホイル議長の通知によると、工作員とみられるのはクリスティーン・リー(Christine Lee)氏。「中国共産党中央統一戦線工作部(United Front Work Department)のために、政治的な影響力行使に故意に関与している」とされる。

 リー氏はロンドンを拠点に活動し、野党・労働党のバリー・ガーディナー(Barry Gardiner)議員に20万ポンド(約3100万円)、同党に数十万ポンドを献金したとされる。

 リー氏は2019年、英中関係の改善に貢献したとして、テリーザ・メイ(Theresa May)前首相に賞を授与された。デービッド・キャメロン(David Cameron)元首相やジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)前労働党党首と一緒に写真に納まったこともある。

 通知は「(リー氏が)香港と中国に拠点を置く外国人のために、現役議員や候補者への献金の仲立ちをした」と指摘。「(リー氏の行為は)資金の出どころを隠すため、ひそかに行われた。明らかに容認できるものではなく、確実に阻止するための方策が講じられている」とした。

 対中強硬派として知られるイアン・ダンカン・スミス(Iain Duncan Smith)元保守党党首は、リー氏が逮捕も国外追放もされず、議会への立ち入りを禁止されただけであることを不服とし、断固たる措置を求めた。(c)AFP