【7月21日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は20日、欧米各地が熱波に見舞われる中、気候変動対策を推進する姿勢を改めて鮮明にした。

 バイデン氏は「気候変動は比喩ではなく、文字通り今そこにある危機だ」と述べ、気候変動に伴う災害に耐えられるインフラの整備に向け23億ドル(約3200億円)を投じる方針を明らかにした。

 東部マサチューセッツ州の石炭火力発電所の跡地で演説したバイデン氏は、議会審議を経なくても、政権として必要なことはすべて実行すると表明。「議会はなすべきことをしていない。今は緊急事態だ。気候変動危機と闘うため、私は大統領権限を行使する」と語った

 ただバイデン氏は、大統領権限をさらに強化できる正式な非常事態宣言の発動は見送った。

 バイデン氏肝煎りの大型歳出法案「ビルド・バック・ベター(Build Back Better、より良い再建)」には5500億ドル(約76兆円)の気候変動対策が盛り込まれているが、与野党の議席数が拮抗(きっこう)する上院で民主党のジョー・マンチン(Joe Manchin)議員が不支持を表明したことで、失速。

 6月には、保守派判事が多数を占める連邦最高裁判所が、環境保護局(EPA)による温室効果ガス排出の広範な規制について、議会の承認なしに発動できないとする判断を下した。(c)AFP/Brendan Smialowski with Aurelia End in Washington