【7月21日 東方新報】筋トレ、エクササイズ、格闘技エアロビクス、ヨガ…。中国ではコロナ禍でもフィットネスブームが続いている。

「中国フィットネス産業データリポート」によると、2021年末でフィットネスクラブの会員数は7513万人。コロナ禍が始まった2020年と比べ6.8%増え、人口あたりの普及率は2017年の3.4%から5.3%に拡大した。新型コロナウィルス感染症により各地のフィットネスクラブの一部は閉鎖したが、営業を続ける1店舗あたりの平均月収は2020年の43万5000元(約889万円)から2021年は11.0%増の48万3000元(約988万円)と持ち直す傾向にある。

 高い経済成長が続いた中国では市民の消費水準も向上し、ひんぱんに外食や娯楽を楽しむようになった。その一方、定時に仕事を終える文化が長かった勤め人も残業が当たり前になってきている。さらに「顔値(見た目偏差値)」という言葉も定着。太った男性は「貫禄があり、頼りがいがある」という従来のイメージから、「見た目次第で就職、給料、結婚、人生すら左右される」と言われるようになった。先進国のように「よく食べ、よく飲み、よく遊び、よく働き、そして体形は維持しないといけない」という社会となり、そこで短時間で体を絞るフィットネスが流行している。

 コロナ禍で急成長を遂げたのが、オンラインフィットネスだ。インターネットを通じてフィットネス事業を手掛ける企業「Keep」の月間アクティブユーザーは2021年に3440万人に達し、1人あたり毎月4.1回のトレーニングを受けている。動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」でも2021年にフィットネス動画のフォロワーは3倍になり、投稿インストラクターの収入は2.5倍に増えた。コロナ禍の上海で在宅隔離生活を送った台湾出身の歌手、俳優の劉畊宏(Will Liu)さんは筋トレのライブ配信を行い、フォロワー数が4000万人を超えた。愛好家の間では「今日も劉畊宏したよ」が日常会話になっている。

 中国は急速な少子高齢化が進み、年内にも人口減少が始まるといわれている。医療費などの社会保障費用が増加すれば経済成長の足かせとなるため、政府も国民の運動を積極的に奨励している。フィットネス産業は2021年の7866億元(約16兆837億円)から2026年には1兆4800億元(約30兆2617億円)に成長すると予想されている。(c)東方新報/AFPBB News