【7月19日 AFP】オーストラリア固有の野生動植物が、森林火災や干ばつ、生息地の消失、地球温暖化により大打撃を受けているとの政府報告書が19日、公開された。絶滅に向かっている種が増えていると警告している。

 環境報告書は5年ごとにまとめられているもの。

 5月の総選挙で労働党が勝利したことに伴い環境相に就任したばかりのタニア・プリバセク(Tanya Plibersek)氏によると、前環境相は昨年12月にこの報告書を受け取っていたが、公表していなかった。

 プリバセク氏は報告書について「衝撃的」とした上で、「私は現実から目を背けたりしない」と述べた。

 報告書は、動植物への打撃は温暖化により加速していると指摘。国内の陸地の平均気温は20世紀初頭から1.4度上昇したと警告している。

 科学者らは、動植物の「貧弱で悪化しつつある」状況を改善するため、劇的な行動を取るよう訴えるとともに、「われわれが適切に対処できなければ、種が絶滅する」と警鐘を鳴らした。

「ブラック・サマー(Black Summer)」と呼ばれる2019~2020年に発生した一連の森林火災では、800万ヘクタール以上の原生林が延焼し、10億~30億匹の動物が死んだ、または生息地を失った。

 2000~2017年には、環境保護関連法に基づいた評価が行われないまま、絶滅危惧種の生息地700万ヘクタール以上が開拓された。

 報告書は「オーストラリアでは、どの大陸よりも多くの哺乳類が絶滅した」としている。

 世界自然保護基金(WWF )オーストラリアのレイチェル・ローリー(Rachel Lowry)事務局長代行は「報告書の内容に心を痛めている。政治指導者らの失敗がこのような規模の喪失につながったのは衝撃だ」とし、「報告書の警告が無視されれば、東部各地に生息するコアラや、フクロムササビなどの代表的な種が目の前で永遠に消えてしまうことになる」と強調した。(c)AFP/David Williams