【7月19日 AFP】スイス政府は18日、ロシアのウクライナ侵攻で負傷した患者について、国内の病院に受け入れない方針を明らかにした。軍事的中立性や、負傷した兵士と民間人を見分けることの難しさを理由に挙げている。

 スイス紙ターゲス・アンツァイガー(Tages Anzeiger)によると、ウクライナから国外への負傷者の搬送を行っている北大西洋条約機構(NATO)欧州大西洋災害対応調整センター(EADRCC)からの協力要請に対し、一部の州は前向きに応じる構えを見せていた。

 連邦政府は要請を検討したが、最終的に負傷者を受け入れないことに決めた。

 スイスは永世中立を掲げており、NATOに加盟していない。

 スイス外務省は「スイスは通常、国内に受け入れるよりも効率的かつ効果的な支援や人道支援を現地で行っている」と説明。ウクライナ西部リビウ(Lviv)や北東部スムイ(Sumy)、北部チェルニヒウ(Chernihiv)の病院に医療機器を提供したり、理学療法士向けの研修を実施したりしているとした。

 また「中立性を定めた法律の観点から、負傷兵が運び込まれても、民間人との区別が難しいという問題点がある」と補足した。(c)AFP