【7月16日 AFP】米国は15日、国際宇宙ステーション(ISS)へ向けた飛行士の輸送で、ロシアとの共同飛行を再開すると発表した。西側諸国はウクライナに侵攻したロシアの孤立化を試みているが、宇宙開発は協働が続く数少ない分野の一つとなっている。

 米航空宇宙局(NASA)は、共同飛行再開の理由として、「ISSの安全な運用を維持し、宇宙飛行士の命を守り、宇宙における米国の存在を継続的に確保するため」と説明している。

 9月21日、カザフスタンで打ち上げられるロシア製宇宙船「ソユーズ(Soyuz)」に、ロシアの飛行士2人と共にNASAのフランク・ルビオ(Frank Rubio)さんが搭乗する。来年初めの打ち上げではローラル・オハラ(Loral O’Hara)さんが参加する。ソユーズでISSに向かったNASAの飛行士は、昨年のマーク・バンデハイ(Mark Vande Hei)さんが最後だった。

 また、フロリダ州で9月に行われ、日本の若田光一(Koichi Wakata)さんも参加する打ち上げでは、ロシア人飛行士が初めてNASA飛行士と共に米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の宇宙船に搭乗する。スペースXの宇宙船での共同飛行は来年初めにも実施される。

 欧州宇宙機関(ESA)は今週、ロシアと協力して進めていた火星探査機のミッションを停止。ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモス(Roscosmos)のドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)社長はこれに猛反発し、ISSに滞在中のロシア人飛行士による欧州製ロボットアームの使用を禁止した。

 だが、NASAによる発表の数時間前、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はロゴジン氏を解任した。熱烈な国家主義者であるロゴジン氏はウクライナ侵攻を強く支持しており、過去には米飛行士はロシアのロケットではなくトランポリン用器具でISSに向かうべきだとも発言していた。

 ドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)大統領府報道官は、解任の理由はロゴジン氏に対する不満ではないと説明。独立系メディアは、ロゴジン氏は昇進する見込みで、ウクライナの占領地統括を任せられる可能性があると伝えている。(c)AFP/ Lucie AUBOURG