【7月13日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領の妻ジル(Jill Biden)氏の文化的に無神経な発言がソーシャルメディアで拡散し、12日にはホワイトハウス(White House)が謝罪する事態となった。ヒスパニック系団体は「われわれはタコスではない」と反発している。

 ジル氏は11日に南部テキサス州サンアントニオ(San Antonio)で演説。同州の多様性を称賛して「ブロンクス(Bronx)の食料雑貨店のように個性的で、マイアミの花のように美しく、ここサンアントニオの朝食、タコスのようにユニーク」と述べた。

 
 ヒスパニック系が多く暮らすテキサス州の人気料理タコスを意識した発言とみられるが、うまくはいかなかったようだ。たちまち嘲笑や軽蔑、政治的ご都合主義だとの非難の的になった。

 ジル氏の報道官、マイケル・ラローザ(Michael LaRosa)氏は「大統領夫人は、自身の発言がヒスパニック系コミュニティーへの純粋な称賛と愛以外のものを伝えることになってしまったことを謝罪している」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 謝罪の前には、全米ヒスパニック系ジャーナリスト協会(NAHJ)が、ジル氏が多様なヒスパニックコミュニティーを「ステレオタイプ」に押し込めているとして、「われわれはタコスではない」と反発していた。

 ジル氏のテキサス州訪問は、昔から民主党の重要な票田となっているヒスパニック系有権者へのアピールが狙いだった。

 2020年の国勢調査によると、米国のヒスパニック系人口は約6200万人。だが、米キニピアック大学(Quinnipiac University)が実施した世論調査によると、バイデン氏のヒスパニック系からの支持率は、この1年間で55%から26%に低下している。(c)AFP