極貧の農村が「中国一のヨガ村」に 健康取り戻し、収入・人口も増加
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【7月13日 東方新報】深刻な高齢化と人口減少に悩む中国河北省(Hebei)の極貧の農村が「中国一のヨガ村」に変身し、活気を取り戻している。
北京から北へ200キロ以上離れた河北省張家口市(Zhangjiakou)玉狗梁村(Yugouliang)では朝6時から村人が広場に集まり、ヨガ体操を始める。60歳以上のお年寄りたちが逆立ちやえび反り、片脚を上げながら両手を広げるY字バランス、両脚を腕に巻き付けながら両手だけで体を持ち上げるポーズなどを繰り広げる。このうち79歳の女性、武啓蓮(Wu Qilian)さんは「ヨガ名人」と言われ、ビデオ投稿プラットフォームのSNSで16万人のフォロワーを集める。武さんは「ヨガを始めて、腕や脚の痛みがなくなった」と笑みを浮かべる。
村にヨガを取り入れたのは、2016年に村の書記に就任した盧文震(Lu Wenzhen)さんだ。「最初に赴任した時、こんな貧しい農村は見たことがなかったので衝撃を受けました」と振り返る。冬になるとマイナス28度を記録する極寒の村は、ジャガイモと小麦を栽培し、牛や羊を育てることで何とか生計を立てていた。働き盛りの村人はほとんど出稼ぎで村を離れ、村民の平均年齢は65歳。60歳は「若い衆」と呼ばれている。村は「国家級貧困村」に指定され、村人は農作業をしない日は1日2食で過ごし、体の痛みや病気を抱えていても病院に行かず我慢していた。
村の問題に頭を悩ませていた盧さんは、ある村人が健康のため足を頭に乗せるポーズを見て、「ヨガを取り入れよう」と思い付いた。中国の都市部ではヨガのフィットネスクラブが人気となっていた。盧さん自身、ヨガを詳しく知らなかったが、インターネットで勉強しながらヨガを教えた。村人は当初、「ヨガなんて聞いたことがない」と乗り気ではなかった。盧さんは手袋とヨガマットを購入して参加者にプレゼントして呼び集めた。数か月後には「体が楽になった」と評判になり、参加者は増加。農作業中に畑の中で逆立ちしたり羊を放牧しながら足を頭の上に載せたりする光景も珍しくなくなった。
村の取り組みを知った国家体育総局社会体育指導センターが2017年に「中国一のヨガ村」と称賛すると、多くのマスコミが報道。米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)など海外メディアも注目した。村はインターネットを通じて有料の「ヨガ入門講座」を開催。さらに農産物のライブ販売も行い、収入増につながった。また、出稼ぎをしていた村人が故郷の取り組みを知り、戻ってくるように。村の方針を決める住民委員会の平均年齢は50歳以下となった。
家族と離れて村で書記を務める盧さんは今年で56歳。「まだまだ村の発展はこれから」と定年まで活動を続けるつもりだ。(c)東方新報/AFPBB News