【7月12日 AFP】カナダがロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1(Nord Stream 1)」の維持に必要なタービンをドイツに返却すると決定したことを受け、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は11日、同国の駐カナダ大使を本国に呼び戻すと発表した。

 ゼレンスキー氏は毎日恒例のテレグラム(Telegram)での演説で「対ロシア制裁の例外は断じて容認できないため、外務省は、カナダ大使を本国に呼び戻さざるを得なかった」として、タービン返却について「ロシアに弱さの表れだとみなされるだけだ」と指摘した。

「ロシアは間違いなく、欧州へのガスの供給を可能な限り制限するだけでなく、ここぞという時に完全に止めようとするだろう」

 カナダは先週末、対ロ制裁の存在やウクライナの要請にもかかわらず、ノルドストリーム1の維持に必要なタービンをドイツに返却することで合意した。タービンは、独シーメンス(Siemens)のカナダ工場でメンテナンスを受けていた。

 ロシアはタービンが返却されないことを理由に、ノルドストリーム1経由でのガス供給量を削減していた。

 ロシア国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)は11日から10日間にわたり、ノルドストリーム1の保守点検を実施し供給を完全に停止。ドイツなどの欧州諸国は点検が終わってもガスの供給が再開されないのではないかと懸念している。(c)AFP