【7月11日 AFP】10日に行われたテニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)の男子シングルス決勝でノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)に敗れたニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が、敗戦の痛みを否定し、「この2週間で今が最高の気分」と主張した。

 27歳で自身初となる四大大会(グランドスラム)決勝の舞台に立ったキリオスは、日差しが降り注ぎ、うだるような暑さになったセンターコートで第1セットは相手を崩した。しかしその後はジョコビッチが巻き返し、4-6、6-3、6-4、7-6(7-3)で大会7勝目とグランドスラム21勝目を挙げた。

 キリオスは「コートに入るときはいつも、大きな重荷を肩に背負っているように感じている。今、そこから解放されて素晴らしい気分だ」と話した。

「この2週間で今が最高の気分だ。もちろん、ここにいられてとても興奮していたし、大きな期待もあったが、楽な気持ちではなかった。大きなプレッシャーを感じていた。何かを成し遂げなくてはならないという強い思いがあった。だから今は信じられない気持ちだ。ビールを2杯飲んだ後のようだ」

 キリオスはときにスリリングで、ときに物議を醸す道のりを歩んで決勝へたどり着いた。客席の方へ向かってつばを吐いて非難されたり、3回戦で対戦したステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)からは「邪悪な面」のある「いじめっ子」だと言われたりした半面、特に決勝では印象的かつ強烈なショットを見せ、エース30本、ウイナー62本をたたき出した。アンダーサーブや「股抜きショット」も披露した。

 本人は、この試合に勝っていたら、快挙を再現したいというモチベーションは薄れていただろうと信じている。

 キリオスは「人生を通じて、ウィンブルドン優勝は究極の偉業だと言われてきた」と話し、「10年を費やして、グランドスラムを懸けてプレーするところまでようやくたどり着き、わずかに届かなかった」と続けた。

「今回優勝していたら、モチベーションを少し失っていたはずだ。(ATP)250のような別の大会に戻るのにも苦労していただろう」 (c)AFP/Dave JAMES