【7月8日 AFP】米情報分析会社レコーデッド・フューチャー(Recorded Future)は7日、ロシアのプロパガンダ機関が、ウクライナ支援をめぐる欧州世論の分断を利用する準備を進めているとの報告書を公表した。

 レコーデッド・フューチャーは、ウクライナでの戦いが長引くほど「西側諸国の国民と政府の関係も悪化する」と述べた。

「時間とともに長引く経済的な痛みを受け入れる気持ちがなくなったり、厭戦(えんせん)気分がまん延したりして、西側諸国の(ウクライナ支援への)支持率が自然に減少していく可能性が高い」として、「制裁の予期せぬ影響」が潮目を変える契機になる可能性があると指摘。

 その上で「ロシアの情報機関が、この機会を利用して国際世論を自国に有利な方向に誘導しようとするのはまず間違いない」との見方を示した。

 多くの専門家はウクライナ紛争について、時間がたつほどロシアが有利になるとみている。現時点で西側諸国のウクライナ支援への支持率が高いが、戦いが長引けば支持率を維持できなくなる可能性があるからだ。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は最近、冬が来る前に戦いを終わらせるよう促しており、同じ見解を持っているとみられる。

 レコーデッド・フューチャーによると、ロシアはすでにいくつかの角度から世論工作を行っており、フランスやドイツ、ポーランド、トルコなどの主要国に焦点を定めている。ロシアの世論工作としては、西側の指導者に対する不満や経済・エネルギー・食料安全保障に対する懸念、西側メディアへの不信をあおること、ウクライナ難民を否定的に描写したり、ウクライナをナチズムやファシズムの発信地と印象付けたりすることが考えられる。(c)AFP