【7月5日 CNS】近年、中国におけるモバイル通信技術の急速な発展やインターネットプラットフォーム経済の規模拡大により、インターネットプラットフォームに頼っているフレキシブルワーカーが増加している。中国国家統計局が発表したデータによると、中国のフレキシブルワーカーの数は現在、約2億人に達しているという。ネット家事代行のほか、似たような職業として、デリバリー配達員、ネット配車のドライバー、ネット配信者、ゲームプレー代行などのプラットフォームのアルバイトなどが挙げられる。中国国務院が発行した『「第14次五か年計画」デジタル経済発展計画』では、個人がSNSやナレッジシェアリング、音声・動画配信サイトなどの新型プラットフォームを利用する就業・起業や、フレキシブルワークと副業のイノベーションの推進を奨励することが明記されている。

 中国労働関係学院労働関係・人的資源学院の聞効儀(Wen Xiaoyi)院長は、中国のフレキシブルワーカーが増えている背景には、従来の生産・製造業からサービス業、特にインターネットプラットフォーム業種への労働力の移行があると指摘する。聞院長は、現在、ギグエコノミーは、もはやかつてのような縁辺の労働市場ではなく、主要な労働市場、さらには主要な雇用形態になっているとみている。

 伝統的な意味での「アルバイト」とは異なり、インターネットプラットフォームを利用したフレキシブルワークの多くが、第三次産業に集中しており、給与も決して低くはない。中国社会科学院の「社会学研究」誌の調査によると、現在、中国におけるフレキシブルワーカーの給与は、フルタイムワーカーの給与の87%で、多くの国や地域より高い。例えば、香港のフレキシブルワーカーの給与は、フルタイムワーカーの給与の41%程度に過ぎない。

 中国ではフレキシブルワークが急速に拡大しているが、労働者の流動性が高く、社会保障ネットワークのカバーが不完全で、労災補償が困難で、管理制度の革新が必要など、いくつかの厄介な現実問題もある。

 昨年7月、中国の複数の政府部門が相次いで、プラットフォーム企業で働くアルバイトの権益保護の強化を求める文書を発表した。例えば、労働災害保護を強化するために、外出、デリバリー、即時配送、都市間輸送などの業界のプラットフォーム企業を重点として、パイロット事業を展開する等である。

 また、プラットフォーム・エコノミーの成熟化に伴い、インターネットプラットフォームを基盤とした人材派遣会社も登場し始めた。これらの企業は、フレキシブルワークの労使双方に権益保障、業績管理などのサービスを提供している。

 法律もプラットフォームのインターネット技術利用のフレキシブルワークの革新的な管理の実施を奨励している。2021年12月31日、中国の複数の政府部門が「インターネット情報サービスアルゴリズム推奨管理規定」を共同で発表し、2022年3月1日に正式に施行された。うち第20条では、「アルゴリズム推奨サービスの提供者は、労働者に仕事のスケジューリングサービスを提供する場合、労働者の労働報酬、休憩休暇などの合法的権益の取得を保護し、プラットフォームの注文配分、報酬の構成及び支払い、労働時間、賞罰などに関するアルゴリズムを確立、完備しなければならない」と定めている。(c)CNS/JCM/AFPBB News