【7月4日 AFP】英国生まれでフランスを拠点としていた演出家のピーター・ブルック(Peter Brook)氏が2日、死去した。97歳。関係者が3日、AFPに明らかにした。

 英国の舞台で若くして頭角を現し、シェークスピア(Shakespeare)作品などの古典の過激な演出で知られた。1970年代初めに渡仏して以降は東洋の伝統から影響を受け、簡素な舞台装置を使った。映画監督としては1963年の『蠅(はえ)の王(Lord of the Flies)』などの作品を残した。

 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領夫妻は、「演劇の神髄を導き出した非凡な演出家」だったと弔意を表した。

 ブルック氏の演出による「ハムレット(Hamlet)」で主役を演じた俳優のエイドリアン・レスター(Adrian Lester)さんは、「私たちの世界の巨人だった」とツイッター(Twitter)に投稿。「彼の影響で西洋演劇は様変わりした」と述べた。

 ロンドンで劇団「テアトル・ド・コンプリシテ(Theatre de Complicite)」を結成し、ブルック氏の演出方法から多大な影響を受けた演出家のサイモン・マクバーニー(Simon McBurney)氏は、「明確なビジョンを持ち、社会を挑発し、預言者でトリックスターであり、友人でもあった」と死を惜しんだ。(c)AFP