【7月1日 AFP】英ロンドンで6月30日、美術館に展示されていたビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)の絵画の額に、環境活動家2人が手を接着する騒動があった。

 騒動が起こったのは、文化施設サマセット・ハウス(Somerset House)にあるコートールド美術館(Courtauld Gallery)。同館所蔵のゴッホ・コレクションの一つ、1889年製作の「花咲く桃の木々(Peach Trees in Blossom)」に手を貼り付けた。

 2人は、国内の化石燃料に関する新規プロジェクトの停止を求める団体「ジャスト・ストップ・オイル(Just Stop Oil)」のメンバー。

 同団体をめぐっては前日にも、グラスゴーの美術館で営業を妨害するような抗議を行い、5人が逮捕されている。

 コートールド美術館によると、事件は昼すぎに起こった。

「ジャスト・ストップ・オイル」がインターネットに投稿した動画には、手を額縁に接着したルイ・マケックニー(Louis McKechnie)さん(21)が来館者らに向かって「こんなことしたくない」と訴える様子が映っている。

 マケックニーさんは20回の逮捕歴があり、禁錮6週の実刑を受けたこともある。

 3月には、イングランド・プレミアリーグのエバートン(Everton)対ニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United)戦の最中にピッチに侵入し、ゴールポストに自分の首をくくりつけて抗議するパフォーマンスを行った。

 6月にはAFPに対し、直接的な行動によって自分が「公衆の敵ナンバーワン」になることも覚悟していると話していた。

 30日に美術館で撮影された動画でマケックニーさんは、英政府は「化石燃料に関する40以上の新規プロジェクトを推し進めている」「われわれの死刑執行令状に署名するようなものだ」と主張。「私たちの世代は、こうした行動を取る以外に選択肢がない」と訴えた。

 英政府は先に、原子力、風力、太陽光発電を含めたエネルギー戦略の見直しを行っている。ロシアによるウクライナ侵攻後の国内供給を確保する試みの一環として、北海(North Sea)での石油開発プロジェクトも検討されている。(c)AFP