【7月2日 AFP】息苦しい暑さから逃れるように、少年たちは群衆をかわしながら、肉付きの良い牛にバケツで水をかけてスタートラインに就く──タイのチョンブリ(Chonburi)県で2年ぶりに行われた泥まみれの水牛レースは、田植えの季節の始まりを告げる伝統行事だ。

 目玉は、4人の参加者が各自2頭の水牛を操りながら水田を駆け抜けるレースだ。参加者たちは泥水の中をはだしで走り、水牛を制御しなければならない。

 竹の先に小さな金属を付けたむちでたたかれると、普段はおとなしい水牛が水田の中を猛ダッシュする。レースは体重と体格別に分かれているが、重い水牛をコントロールするにはかなりの技術を要する。

 何週間も前から水牛と一緒に練習してきた参加者が、いつも優位に立てるとは限らない。出だしから足を取られ、文字通り、泥沼の中を引きずられる不運な人もいる。

 バンコクから観戦に来たというウィティン・ルアンアクソン(Within Lueanguksorn)さん(38)は、「普通の人には無理だと思います」と感想を述べた。「人間と水牛の間に関係ができていないと」

 水牛は暴走気味に突進しながら、ものすごい勢いでゴールラインを通過する。

 出場したノッパドン・インディースック(Noppadon Yindeesuk)さん(45)は、この伝統行事が危険なものでもあることを認めている。「水牛同士が近づきすぎると、事故を起こす可能性があるので、参加者は注意しなければなりません」

 それでも「水牛レースに出場するのは、おいしい米と立派な水牛というチョンブリの伝統を守りたいからです」と話した。(c)AFP/Rose TROUP BUCHANAN