【6月26日 AFP】テニス、四大大会(グランドスラム)今季第3戦のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)は、通算8度のタイトル獲得を誇るロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)と世界ランキング上位2選手の不在に加え、重要なランキングポイントも付与されない中で、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が優勝争いの中心になると予想される。

 大会を主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)がウクライナ侵攻を理由にロシアとベラルーシの選手の出場を禁止したため、世界1位のダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)と同8位のアンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev)は今大会には出られなくなった。

 競技を統括する男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)は、AELTCの方針に反発し、ウィンブルドンをポイントの対象から外すことを決定。大会は27日の開幕を前に、すでに政治的な波が押し寄せている。

 また、40歳のフェデラーは現在、メスを入れた膝の回復を目指しており、ウィンブルドンを欠場するのは新型コロナウイルスの影響で中止された2020年大会を除き、1999年のデビュー以来これが初めてとなる。

 さらに、世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)も、ナダルとの全仏オープン(French Open 2022)準決勝で右足首の靱帯(じんたい)に恐ろしいけがをし、欠場となった。

 これで今年のウィンブルドンは、世界3位のジョコビッチと同4位のナダルがそれぞれ第1シードと第2シードに入り、両雄が通算60度目の対決を果たすのは決勝のみとなる。

 ウィンブルドンでは2011年、2014年、2015年、2018年、2019年、そして2021年に優勝し、今大会ではピート・サンプラス(Pete Sampras)氏に並ぶ7度目のタイトル獲得を目指すジョコビッチは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を拒否しているため、今年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2022)には出られない可能性が高くなっており、今年のグランドスラムはウィンブルドンが最後になるかもしれない。

 一方、36歳のナダルは全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2022)と全仏オープンのタイトルをひっさげ、今年のウィンブルドンに乗り込んでくる。さらに、1969年のロッド・レーバー(Rod Laver)氏以来、史上3人目の年間グランドスラム達成まであと2勝と迫っている。

 しかし、全仏オープンでは慢性的な問題を抱える左足を注射でまひさせた状態でプレーしており、大会後には足の神経痛を軽減するための「パルス高周波療法」を開始していることから、ウィンブルドンでの2週間を耐え抜けるかが疑問視されている。

 ジョコビッチやナダルが敗退した場合、昨年大会で準優勝したマッテオ・ベレッティーニ(Matteo Berrettini、イタリア)がその恩恵を最も受ける選手になるとみられる。世界ランク11位のベレッティーニは、ボス・オープン(Boss Open 2022)とシンチ選手権(2022 cinch Championships)のグラス(芝)コート大会で2連勝を飾っている。

 トップ10の選手では、キャスパー・ルード(Casper Ruud、ノルウェー)やステファノス・チチパス(Stefanos Tsitsipas、ギリシャ)、カルロス・アルカラス(Carlos Alcaraz、スペイン)、フェリックス・オジェ・アリアシム(Felix Auger-Aliassime、カナダ)、ホベルト・ホルカシュ(Hubert Hurkacz、ポーランド)が名を連ねている。

 しかし、今年の全仏オープンで準優勝したルードは過去2大会、チチパスは過去4回の出場で3度、それぞれ初戦敗退に終わっており、アルカラスも初出場となった昨年大会は2回戦進出にとどまった。

 一方でオジェ・アリアシムは昨年8強入りを果たしており、前哨戦のテラ・ウォルトマン・オープン(2022 Terra Wortmann Open)を制したホルカシュは前回大会で4強入りを遂げている。(c)AFP