【6月23日 AFP】米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は22日、連邦燃料税の課税を9月まで3か月間停止するよう議会に要請した。40年以上ぶりの高水準に達しているインフレへの対処が目的だが、厳しい戦いが予想される11月の中間選挙をにらんだアピールだとの批判も上がっている。

 米国では、主にロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領によるウクライナ侵攻の余波や、西側諸国の対ロシア制裁により、インフレが高進している。米高官は、免税案は「プーチンの値上げ」で打撃を受けた米消費者を直接救済するための措置であり、州政府にも州税の課税停止を要請すると説明した。

 連邦税はガソリンに1ガロン(約3.8リットル)当たり18セント(約24円)、ディーゼルに同24セント(約33円)課せられている。高官は、ガソリン1ガロンの価格は平均5ドル(約680円)近くに達し、ウクライナ侵攻開始以来2ドル(約270円)近く上昇したと指摘。「大統領は高騰するガソリン価格が労働者世帯にもたらす課題を認識している」としつつも、課税停止だけでは家計の負担を相殺できないと認めた。

 だが、課税停止案が議会の承認を得られる見込みは今のところ薄い。与党・民主党は上下両院でかろうじて過半数を確保するにとどまっており、党内の反応も芳しくない。同党のステニー・ホイヤー(Steny Hoyer)下院院内総務は米ニュースサイトのポリティコ(Politico)に対し、「大きな救済につながるとは思わない」として、課税停止に消極的な姿勢を示した。(c)AFP