【6月23日 東方新報】中国の小中学校で9月の新学期から「料理」を学ぶカリキュラムがスタートする。それに合わせて「子ども用おもちゃキッチン」が数多く発売されるようになったが、それが果たして「おもちゃ」なのか安全基準が厳しい「キッチン用品」なのかが議論になっている。

 中国教育部は小中学校で行っている総合実習のカリキュラムから一部を独立させ、9月から新たに「労働課」を設ける。児童・生徒が自ら手や体を動かして働き、労働の大切さや実際のスキルを身に着けることが目的で、1週間に1コマ以上設置するよう求めている。

 具体的には清掃活動や農業体験、伝統工芸体験、ボランティアなどがあり、そのプログラムの1つに料理がある。小学1~2年生は野菜の洗い方などの簡単な炊事、3~4年生はあえ物料理や肉まん、水ギョーザの作り方を学習。5~6年生はトマトと鶏卵の炒め物や目玉焼きといった献立作り、中学1~3年生は1日3食の献立作りを学ぶといった具合だ。

 その「予習」のためとして、市場では子ども用おもちゃキッチンが数多く販売されるようになった。おもちゃと言っても、電気調理器にフライパン、焦げ付き防止鍋、包丁にまな板など実際のキッチンと同じ用品がミニサイズでそろっているセットもある。50元(約1008円)から300元(約6052円)程度の商品が多く、本格的なものは800元(約1万6139円)になる。人気商品は毎月5万個以上売れている。

 統計によると、中国の家庭で子育てや教育への支出は平均月額5262元(約10万6159円)。多くの家庭で世帯収入の20~30%を占めている。子どもの教育に熱心な保護者は多く、料理が授業に組み入れられることで子ども用キッチンを買い求める家庭が少なくない。

 ただ、電気調理器や固形燃料が付属しているセットは、実際に加熱して調理ができる。キッチン用品であればさまざまな安全検査をクリアする必要があるが、各メーカーは商品に大きく「おもちゃ」と表示。キッチン用品としての安全検査を受けていないし、製品の統一基準もないのが実情だ。

 中国農業大学(China Agricultral University)の朱毅(Zhu Yi)准教授は「子ども用キッチンは原材料や製造工程、操作方法について厳密な検査を受けるべきだ」と指摘。華僑大学(Huaqiao University)の蕭北嬰(Xiao Beiying)准教授は「子どもに料理を教えるのに専用のキッチンは必要ない。家庭のキッチンで親が一緒になって教えれば十分に料理の知識、経験、安全性を学ぶことができる」と話している。(c)東方新報/AFPBB News