【6月25日 東方新報】格安のアパレル通販サイトや高級ブランド店、個性的なコスメなど、中国発のファッションが日本でも広がりつつある。

 中国でも「30代以上は知らないが若者の間では大人気」という不思議なブランドが、通販専門のファストファッションブランド「希音(シーイン、SHEIN)」。日本語サイトを見ると、バッグやワンピース、財布などが1000円未満、ピアスは100円足らずなど驚きの低価格で販売している。

 商品の企画・製造から流通までのサプライチェーンをすべて中国国内で構築しており、小ロット生産、早い納品サイクル、大量の商品販売が強み。世界150か国・地域に展開し、「安くオシャレをしたい」若い女性の必須アイテムとなっている。

 特に2020年からのコロナ禍で世界各地の店舗が閉鎖され外出できない日々が続く中、一気に売り上げを伸ばした。ECアプリでSHEINのダウンロード数がアマゾンを抜いて1位になったことも。2021年の売り上げは157億ドル(約2兆827億円)。ザラ(ZARA)やH&M、ユニクロ(Uniqlo)などのファストファッション界の巨人に肉薄している。

 中国ブランドの実店舗も進出している。高級レディース「ICICLE(アイシクル)」は昨年9月、大阪の阪急うめだ本店に出店した。アイシクルは「メイド・イン・アース」をコンセプトに、高品質の天然素材を使用した環境に配慮した製品を開発。パリと上海のアトリエから現代的なデザインを発信している。コートが16万円、ドレスが10万円、パンツが7万円などラグジュアリーな高価格帯に切り込み、日本では今後も都心の百貨店やファッションビルへの出店を計画している。

 高級メンズ「単農(DAN NONG)」は2020 年に東京・南青山に1号店、21年に松屋銀座に2号店を出店した。中国やイタリアの高品質な素材、そして和紙を織り込むなどの日本の素材や技法を多用。「現代のクラシック」をテーマにした製品は注目を集めている。

 日本のドラッグストアや若者向け雑貨店では、「中華コスメ」のコーナーが目立つようになってきた。中国神話や西洋占術などのファンタジーな世界観をテーマにしている「GIRLCULT(ガールカルト)」、ヴィーガン・クルエルティフリー(動物由来の成分を使用せず、動物実験をしていない)コスメの「DiTO(ディト)」など個性的なブランドが次々と進出している。

 中国は2000年前後から世界の衣料品生産の拠点となり、20年間にわたり多種多様な衣料品を生産。生産インフラやノウハウを蓄積してきた。同時並行で海外にファッション留学する若い中国人が増え、企画・デザイン力を身につけてきた。日本などへの海外進出が活発になってきたのは、向上したハード・ソフトの力が結合した成果といえる。(c)東方新報/AFPBB News