【6月17日 AFP】2024年パリ五輪の開会式をセーヌ(Seine)川で開くという野心的な計画について、安全面に関する懸念が高まっているものの実行は可能であると、16日にフランス政府高官が述べた。

 パリ五輪の開会式では、選手や関係者を乗せた160隻以上の船がパリ中心部のセーヌ川沿いを約6キロ航行する予定で、大会組織委員会は60万人もの観客を見込んでいる。

 主要スポーツ大会を担当する仏政府高官のミシェル・カド(Michel Cadot)氏は、上院の聴聞会で「可能だが、航行およびアクセス面でのリスク、検問、流動性、移動、そして混雑を避けるためのチェックポイントの数といった点で念入りな計画が必要になるだろう」とコメントした。

 カド氏はこの日、5月末にパリ郊外で行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2021-22)決勝での観客の問題について厳しく尋問されていた。

 パリ五輪の開会式に向けた計画は、まだ政府内のあらゆるレベルで議論されている段階で、「2022年末までに」承認されることを望んでいるとカド氏は語った。

 開会式の行進をスタジアムで行うという夏季五輪の長年の伝統から脱却するという組織委の決定は、パリのアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長やエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領から支持されていると報じられている。

 しかし、野党議員や警備の専門家はセーヌ川での開会式について疑問視している。

 パリ管区の副管区長を務めるパトリック・カラム(Patrick Karam)氏は、仏BFMテレビに「野外での開会式は治安部隊にとって悪夢」と話した。

 また、犯罪学者として有名なアラン・ブエル(Alain Bauer)氏は、前月末にフランス5(France 5)に出演した際、セーヌ川での開会式を「犯罪的狂気」と呼び、ドローンでの攻撃や押し寄せる水の危険性について指摘した。(c)AFP