■「完全な無法状態」

 旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元職員で、10月に70歳を迎えるプーチン氏は、この20年間で免責と恐怖に基づくシステムの構築に成功したとカシヤノフ氏は指摘する。

「これらは、プーチン氏が国家元首になったことで、ソ連末期よりも冷笑的かつ残酷な手法で運用されるようになったシステムの成果だ」

「本質的には、これは完全な無法状態に基づいたKGBのシステムだ。彼らが罰を受けることを全く予期していないのは明らかだ」

 ウクライナ侵攻を受けてカシヤノフ氏はロシアを離れ、現在は欧州に住んでいると話した。だが、身の安全のため具体的な居場所を明かすことは差し控えた。

 同氏の盟友でやはり野党指導者だったボリス・ネムツォフ(Boris Nemtsov)元第1副首相は2015年、クレムリン近くで暗殺された。プーチン氏批判の急先鋒(せんぽう)として知られるアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏は、2020年に毒殺未遂に遭い、現在は収監されている。

 カシヤノフ氏は、ウクライナが戦いに勝つことが不可欠だとし、「ウクライナが陥落すれば、次はバルト3国だ」と述べた。

 また、戦いの結果はロシアの将来をも左右するとの見方を示した。

 プーチン氏に屈辱を与えてはならないとするエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の提案には「全面的に」同意できないと主張。終戦に向けてウクライナに領土割譲を求める声もはねつけた。

「プーチン氏がそれ(領土割譲)に値するどんなことをしたというのか。それは実利主義に傾き過ぎた立場だ。間違っていると思うし、西側がそのような道を歩まないことを願う」