【6月10日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は9日、ウクライナ侵攻について、スウェーデンに勝利した1700~21年の北方戦争(Northern War)になぞらえる発言をした。

 北方戦争では、ピョートル1世(大帝、Peter the Great)率いるロシアがスウェーデンに勝利を収め、バルト海(Baltic Sea)沿岸を手中に収めた。

 プーチン氏はモスクワで開かれたピョートル大帝生誕350周年を記念する展覧会を視察した後、若手企業家を前に「彼(ピョートル大帝)がスウェーデンとの戦いで何かを奪ったかのような印象を受けるかもしれないが、何も奪っていない。奪い返しただけだ」と語った。

 また、ピョートル大帝がサンクトペテルブルク(St. Petersburg)を建設し、ロシアの首都と宣言した時には「欧州のいずれの国もその地をロシア領と認めなかった」と指摘。「誰もがスウェーデン領とみなしていた。しかし、はるか昔からそこではスラブ人がフィン・ウゴル系民族と共に暮らしていた」と述べた。

 さらに「奪い返し、強くなる責務がわれわれにもある」と主張。「わが国は歴史の中で後退を余儀なくされこともあったが、最終的には力を取り戻し、前進してきた」と語った。

 こうした発言は、現在のウクライナ侵攻に言及したものとみられる。

 ロシアは北方戦争で勝利したことでバルト海の覇権を握り、欧州で大きな影響力を持つようになった。ただ、ウクライナ侵攻で西側諸国との関係が悪化する中、ロシア当局はピョートル大帝について、欧州と密接な関係があったことにはあまり触れず、領土拡大で果たした役割をことさら強調している。(c)AFP