■「家族を養わなければ」

 さらに肥料や農薬の価格が高騰し、燃料費も3倍になっている。水不足のため、今年は小麦の生育も悪い。しかし、収穫せずに放置すれば火災が起きる危険性がある。ロシア軍に攻撃されれば、その危険はいっそう増大する。

 イワノワさんは、ロシアの侵攻による危機を乗り越えるために栽培作物も変えている。収穫時期の早いカラシナから、より遅い時期に取れるヒマワリやキビなどに乗り換えて対応しているのだ。

 雑草が生えた畑をトラクターで耕していた従業員のオレクサンドル・ホメンコ(Oleksandr Khomenko)さん(38)は「怖かろうが何だろうが、働きに出ないと。家族を養わなければなりませんから」と話した。

 大半の従業員は農場での仕事を継続している。イワノワさんも給料を払い続けているが、「いつまでやっていけるか分かりません」と言う。「でも少なくとも、うちではずっと食べ物には困らないはずです」 (c)AFP/ Blaise GAUQUELIN