【6月14日 AFP】ウクライナのタラス・ビソツキー(Taras Vysotskiy)農業食料第1次官は13日、ロシアの侵攻で南・東部を中心に耕作地の4分の1が失われたとの見方を示した。ただ、国内の食糧安全保障は脅かされていないと語った。

 ビソツキー氏は記者会見で「耕作地の25%が失われたが、今年の作付け規模は(国内食料需要を満たすのに)十分すぎるほどだ」と述べた。

 ビソツキー氏によると、数百万人の国民が戦闘を逃れて国外に避難したため、国内の食料需要は減少している。

 国際移住機関(IOM)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、国内避難民は推定700万人超、国外に逃れた難民は730万人超に上る。

 ビソツキー氏は、ロシアに広大な土地を奪われたにもかかわらず「作付け状況を見れば、国内の食糧安全保障を脅かすものとはなっていない」と語った。

 同氏は、ウクライナでは「戦争が始まる前に農業従事者が作付けの準備をほぼ済ませていた」と指摘。さらに、2月時点で「肥料の必要量の約70%、病害虫防除用品の約60%、(作付け用の)燃料の約3分の1を輸入していた」と説明した。

 国際NGOの世界資料センター・ウクライナ(World Data Center-Ukraine)によると、ロシアの侵攻を受ける前、ウクライナの耕作地は3000万ヘクタール超だった。

 一方、国連(UN)は、ロシアの侵攻の影響で世界で数千万人が食料不足に直面し、栄養失調や飢饉(ききん)が起きる恐れがあると警告している。(c)AFP