【6月11日 AFP】米ミズーリ州の控訴裁判所は今週、車中での性行為でパートナーにヒトパピローマウイルス(HPV)をうつされたとして相手方の自動車保険会社ガイコ(GEICO)に損害賠償を求めていた女性の訴えを認めて同社に520万ドル(約7億円)の支払いを命じた仲裁裁定の結果を支持した。

 女性は「過去と将来の医療費」および「過去と将来の精神的・肉体的苦痛」に対する損害賠償として990万ドル(約13億円)の支払いを求めていた。

 女性は当初、パートナーは自身の感染を知っていたにもかかわらず、2017年に車内での避妊具を使わない性行為でHPVをうつしたと主張。パートナーの保険契約では自身の「損害」をカバーできるとしてガイコに示談を持ち掛けていたが、同社は受け入れを拒否。昨年、仲裁裁定に持ち込んで争っていた。

 しかし仲裁人は、女性のパートナーが「自身の咽頭がんの腫瘍はHPV陽性と告知されていた」ことを明らかにし、「被保険者は性行為の前に、自身の診断結果を伝えるべきだったのに怠った」として、計520万ドルの損害賠償を認める裁定を下していた。

 HPVは米国で最も一般的な性感染症の一つで、高リスク型HPVはがんの原因になることもあるが、ワクチンもある。

 今回の裁定結果はソーシャルメディアで拡散され、話題になっている。

 米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)は「クレイジーな損害賠償請求のせいで、自動車保険が高額になっている」とツイッター(Twitter)に投稿し、「非常識な損害賠償を求める法律事務所を訴えられるようにするべきだ」と述べている。(c)AFP