【6月9日 AFP】米国出身で、中国代表として北京冬季五輪に出場したフリースタイルスキー女子の谷愛凌(Eileen Gu)が7日、ソルトレークシティー(Salt Lake City)で2030年もしくは2034年の冬季五輪開催を目指す米国の招致大使に就任したと発表し、中国のソーシャルメディアでは賛否の声が上がっている。

 カリフォルニア州で米国人の父親と中国人の母親の間に生まれた谷は、2019年に国籍を変更。2月の北京五輪では金メダル2個、銀メダル1個を獲得し、中国国民の心をつかんだ。

 しかし、谷の国籍をめぐっては厳しい目が向けられており、中国国籍を取得するために米国籍を放棄したかについては明言を避け続けている。米ニューヨークで行われた米誌タイム(Time)のイベントでインタビューに臨み、招致大使就任を発表した谷は、この日も北京五輪前に代表を変更したことに後悔はないと話した。

 谷が米国の招致活動をサポートすることについて、中国のソーシャルメディアでは賛否両論が巻き起こり、中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)ではすぐにトレンド上位の話題となった。

 一部の人々は、谷が中国代表として競技するモチベーションを疑問視している。

 あるユーザーは、谷が中国企業と結んだ多くのコマーシャル契約を暗に示し、「もちろん彼女は中国を代表することを後悔していない。何しろこの1年だけで一生暮らせるだけの大金を中国で稼いだのだから」と投稿。「結局、彼女は米国人だったということ」という声もあった。

 その一方で谷を支持する意見もあり、谷の「中国人選手としての国際的な影響力」を称賛した投稿が、中でも人気を集めた。(c)AFP