【2月8日 AFP】北京冬季五輪で7日行われたフィギュアスケート団体戦、女子シングル・フリースケーティング(FS)で、米国生まれの中国人選手、朱易(Zhu Yi、19)が2度転倒し、氷上で涙を見せた。前日の演技も不調に終わったため、中国のSNSでは同選手に対する中傷の声が広がっていた。

 米国でビバリー・ジュウ(Beverly Zhu)として生まれ育った朱は、6日に行われた団体戦の女子シングル・ショートプログラム(SP)でも転倒して最下位となり、中国の決勝進出を危うくしていた。

 約400人のファンが中国国旗を振って声援を送る中、朱は不安な面持ちで演技を開始。だが立て続けに2回転倒したほか、複数のジャンプで着氷が乱れた。

 最後まで耐え抜いたが、ミュージカル「サンセット大通り(Sunset Boulevard)」の曲の最後の音が消えると、顔を手で覆って涙を流しながらリンクを後にし、選手が得点を待つ「キスアンドクライ」と呼ばれるスペースに向かった。

 その後、地元メディアに対し「北京五輪では皆の声援を感じることができ、良い演技をしたいと心から望んでいる。そのために自分に少しプレッシャーをかけてしまったのかもしれない」と語った。

 朱は6日に行われたショートプログラムが終わると中国のSNSで酷評され、「朱易の失敗」といったハッシュタグの閲覧数は数億回に及んだ。朱に関するコメントはその後、検閲されたとみられる。

 7日には中国国営のツイッター(Twitter)アカウント「チャイナ・フォーカス(China Focus)」が応援のメッセージを投稿。「中国の若いスケーターには将来、より良い演技をするための時間と忍耐が必要だ。泣かないで、朱易。私たちはあなたと共にいる」と呼び掛けた。(c)AFP