【6月8日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)前首相(67)は7日、昨年12月の退任後初めて本格的なインタビューに応じ、ロシアによるウクライナ侵攻で自身のレガシー(遺産)が損なわれたとしても「謝罪することは何もない」と語り、在任時に推進した対ロシア融和政策を擁護した。

 メルケル氏は16年間の在任期間中、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談を重ね、経済重視の実利的な関係を築いた。

 メルケル氏はベルリンの劇場でニュース専門チャンネル「フェニックス(Phoenix)」のインタビューに応じ、「外交は機能しなかったとしても間違いということにはならない」と主張した。

 2014年のクリミア(Crimea)半島併合をめぐる対ロ経済制裁を支持したことや、14~15年にウクライナ東部紛争の停戦合意締結をフランスとともに仲介したことを挙げ、「努力が足りなかったと自分を責める必要はない」「『間違っていた』と言う必要はなく、謝罪すべきことは何もない」と語った。

 ロシアによるウクライナ侵攻については「転換点」になったと指摘。ロシアが行っているのは「残虐」かつ違法な侵略戦争であり、「一切正当化され得ない」と糾弾するとともに、プーチン氏は「大きな過ち」を犯したと述べた。

 メルケル氏が2008年、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止したことは間違いだったとの批判もある。これについて同氏は、ウクライナは当時、加盟に向けた準備が整っておらず、またNATOの東方拡大に反発するプーチン氏との「関係悪化」を避けたかったと説明した。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK