【6月14日 AFP】大富豪の起業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏にとって、話題を振りまくのはお手のものだ。同氏にまつわる報道はあふれている。しかし、アパルトヘイト(人種隔離)時代の南アフリカで過ごした少年時代のことは、あまり知られていない。

 マスク氏によるツイッター(Twitter)買収をめぐる騒動が続く中、父親のエロル・マスク(Errol Musk)氏(76)が、AFPのインタビューに応じた。

 エロル氏には軍隊経験がある。息子たちにも軍隊仕込みの規律を教え、「南アフリカの少年」らしく育てようとしたという。

「厳格な父親だった。私の言うことが法律だった。(息子たちは)私から学んだ」

「私もそうやって生きてきた。ベストを目指し、力を尽くしてきた」

 ケープタウンから120キロ離れた趣のある海辺の町ランゲバーン(Langebaan)の自宅で、エロル氏はそう語った。引退する前は技術者で、不動産開発業も営んでいた。

 イーロン氏は1971年6月28日、エロル氏と、カナダ出身で南ア育ちのモデル・栄養士、メイ(Maye)さんとの間に、首都プレトリアで生まれた。弟と妹がいる。

 両親は離婚。イーロン氏は父親と暮らすことを決め、1人で夜行列車に乗り、父親の元にやって来た。

「ヨハネスブルク駅に行くと、9歳のイーロンが1人でにこにこしながら列車から降りてきた」と振り返った。

 だが、イーロン氏自身は、つらい子ども時代だったと折に触れ語っている。

 アパルトヘイト政策真っ盛りの中、イーロン氏は徴兵制を逃れるため、国を後にした。

 エロル氏が2017年、40歳年下の継娘との間に子どもをもうけると、関係は悪化した。

「イーロンはあまりよく思わなかった。私は人生をあるがまま受け入れているだけだ」。最終的に、関係は修復したという。