■「これぞイーロン」

 息子は常に風変わりだったと、エロル氏は話す。子どもの頃は物おじせず、いたずら好きで、大人の会話によく加わっていたと振り返る。「4歳なのに大人の輪に加わっていた」

 イーロン少年はある日、大人になったら大富豪になると宣言した。それを耳にした一人の大人は、酒を飲み、たばこをふかしながら笑った。「大人になったら分かる。そううまくいくものではない。がっかりするだろう」

 イーロン少年は「ばかなのはあなただ」と言い返したという。

「これぞイーロンだ」と、エロル氏は言った。

 父親が自殺した同級生を傷つけるような発言をしたこともあった。相手に学校の階段から突き落とされ、入院した。

 その出来事の後、エロル氏は息子を名門男子校に転校させた。

■思いやり

 息子とは秘書を通じて連絡を取っている。

 インタビュー中にも、イーロン氏からEメールが届いた。最近受けた目の手術の費用を負担すると言ってきたという。

「イーロンはとても思いやりがある。イーロンが人類を救いたいと言うときは、本当にそう思っている。ただのスローガンや宣伝ではない。本気なんだ」

 エロル氏の70歳の誕生日には、ハリウッド(Hollywood)のスターら友人を招いてパーティーを催してくれた。

「私は南アフリカの男だ。自分の誕生日に関心はない。でも、あれはうれしかった」

 6年前のそのパーティー以来、直接には会っていない。電話で話すこともあまりない。エロル氏は別段、変わったことではないと語った。(c)AFP/Graeme RAUBENHEIMER and John VAN DER BERG