【6月11日 AFP】イタリアのエミリアロマーニャ(Emilia-Romagna)州には、高級スポーツカーと高級オートバイのメーカーが集中する地域「モーターバレー(Motor Valley)」がある。

 同州ボローニャ(Bologna)からモデナ(Modena)近郊には、約1000平方キロの農耕地帯が広がっているが、ここはランボルギーニ(Lamborghini)、フェラーリ(Ferrari)、マセラティ(Maserati)、ドゥカティ(Ducati)など、有名ブランドのマシンが集まる「エンジンの大地」でもある。モーターバレーという通称は、IT企業が集中する米カリフォルニア州のシリコンバレー(Silicon Valley)にちなんでいる。

 モデナでは、新型コロナウイルスの流行時期を除いて例年、高級スポーツカーの見本市「モーターバレーフェスト(Motor Valley Fest)」が開催されており、市内に展示されるラグジュアリーな車やバイクを目当てに業界関係者やファンが集まる。

 今年のイベントで注目されたのは、近未来的なハイパーカー「パガーニ・ウアイラ(Pagani Huayra)」だ。イベント会場から数キロのサンチェザーリオスルパーナロ(San Cesario sul Panaro)にあるパガーニ(Pagani)の本拠地で製造されており、最低価格は1台なんと260万ユーロ(約3億7000万円)だ。

 パガーニ創業者の息子で広報責任者のクリストファー・パガーニ(Christopher Pagani)氏はAFPに対し、パガーニ・ウアイラ1台の製造には8~9か月かかり、注文から納車まで通常2年待ちだと語った。

「今年の生産台数は40〜45台になる予定で、全車両特別なものとなっています。顧客は全員、私たちと直接連絡を取り、ここを訪れ、この『旅』に出る機会を持っているからです」

 パガーニで何よりも重視されているのは車両の重量だ。40種類のカーボンファイバーの他、チタンやアルミニウムを使用して極限の軽量化を目指している。電気自動車(EV)の場合はバッテリーの搭載で重量がかさむが、環境に配慮した車が求められる傾向から、EV仕様車を検討する顧客もいるという。