■「MeTooへの反発」

 非営利組織「全米反ドメスティックバイオレンス連合(National Coalition Against Domestic Violence)」のルース・グレン(Ruth Glenn)代表は、今回の裁判が、性暴力やDVに関する法廷闘争を見慣れていない世界中の人々の注目を集めたことを問題視。AFPに対し、「社会はDVの力関係をまだ理解していない」と指摘した。

 裁判では、この点についての議論が十分ではなかったという。グレン氏は、自身や同僚の目には、法廷で虐待のパターンが示されたことに「疑いはなかった」と語った。

 ダウバー氏はまた、今回の裁判が米国で女性の権利に対する反発が高まっていることを浮き彫りにしたとも指摘した。同氏は裁判についてツイッター(Twitter)に投稿したことで、中傷を浴びた。

 世論の支持はデップさん側に大きく偏っており、ハードさんはネット上で無数の批判やあざけりの対象となった。ダウバー氏は、そうした投稿の中には「あからさまな女性嫌悪」もあると指摘した。

 この裁判により、2017年に始まったセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」の将来に疑念が生じたとの見方も多く、評決は同運動への反発だとする声も上がっている。(c)AFP/Sarah TITTERTON with Diane Desobeau in New York