【5月30日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)のミルチャ・ジョアナ(Mircea Geoana)事務次長は29日、NATOは、東欧にNATO軍部隊を配備しないとする従来方針にはもはや拘束されないとの見解を示した。

 ジョアナ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻およびNATOとの対話停止を受け、NATOとロシアが1997年に締結した基本文書の「条項は一切、無効になった」とAFPに語った。

 NATO、ロシア双方は基本文書で「中・東欧を含む欧州の合意地域において、潜在的な脅威となり得る通常戦力の増強を抑止する」ことで合意している。

 ジョアナ氏は、リトアニアの首都ビリニュスで「彼ら(ロシア側)は近隣諸国を攻撃しない、またNATOと定期的に協議すると決め、そうする義務を負ったが、守っていない」と指摘。「実際のところ、基本文書はロシアのせいで基本的に機能しなくなったと思う」と語った。

 さらに「われわれは現在、東欧方面で強く出たり、NATO加盟国の領域が(NATO条約)第5条および加盟国によって防衛されることを確実なものとしたりすることに何ら制限は課されていない」と強調した。

 NATO第5条は、加盟国に対する攻撃はNATO全体への攻撃と見なすとする集団防衛を規定している。

 ジョアナ氏は、東欧へのNATO部隊配備計画について詳細を示さなかったが、「強靱(きょうじん)で柔軟性があり、持続可能な駐留」となるだろうと述べた。

 NATOは、6月半ばに開く国防相会合でこの件を含めて議論する予定。6月末にスペイン・マドリードで開かれる首脳会議で、改定項目が承認される運びとなる。(c)AFP