【5月26日 AFP】米南部テキサス州ユバルディ(Uvalde)の小学校で児童19人、教員2人が死亡した銃乱射事件から一夜明けた25日、地元のヒスパニック系コミュニティーは深い悲しみに包まれた。

 米国では銃を使った暴力事件が頻発しているが、学校で起きた銃乱射事件としては、2012年に児童20人と教職員6人が死亡したコネティカット州ニュータウン(Newtown)のサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)での事件以降、最悪の惨事となった。

 ユバルディはメキシコ国境から約1時間の距離にある小さな町で、住民の大半がヒスパニック系。事件が起きたロブ小学校(Robb Elementary School)には7〜10歳の児童500人以上が通っており、その多くが経済的に恵まれていない家庭の子どもだ。

 おいが同小に通うアドルフォ・エルナンデス(Adolfo Hernandez)さんはAFPに対し、町全体が悲しみに包まれていると説明。「自分をつねって、このひどい悪夢から目を覚ましたい」と語った。

 10歳の誕生日を迎えたばかりだった娘のアメリー・ジョー・ガルサ(Amerie Jo Garza)さんを亡くしたアンヘル(Angel Garza)さんはフェイスブック(Facebook)に「愛する娘は今、天使たちと空高く飛んでいる」と投稿。「私はもう二度と幸せになれないし、満たされもしない」とつづった。

 一方、現場で警官に射殺されたサルバドール・ラモス(Salvador Ramos)容疑者(18)に関する詳細も明らかになっている。

 容疑者はユバルディ在住で、米国市民だった。元友人のサントス・バルデス(Santos Valdez)さんが米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に語ったところによると、吃音(きつおん)などの言語障害のために繰り返しいじめにあっており、自分の顔を「面白半分に」切ったこともあった。

 容疑者は事件当日、祖母(66)の自宅でその顔面を撃ち、車で逃走。重傷を負った祖母は警察に通報し、病院に搬送された。

 容疑者はロブ小学校前で衝突事故を起こすと、車を乗り捨て、校内に侵入。警官と銃撃戦となった後、教室に立てこもり、中にいた児童や教員を銃撃した。

 テキサス州では18歳以上であれば合法的にライフルやショットガンなどを購入できる。容疑者は今月16日に18歳の誕生日を迎えた翌日、ライフル1丁を購入。その3日後に2丁目の銃と375発の弾薬を購入した。犯行時には防弾服も着用していた。

 グレッグ・アボット(Greg Abbott)州知事は25日の記者会見で、犯行に使われたのはAR15型半自動ライフルだったと説明。容疑者が小学校に到着する直前、フェイスブックで「これから祖母を撃つ」、「祖母を撃った」、「小学校を銃撃する」とのメッセージを共有していたことを明らかにした。フェイスブックによると、メッセージは容疑者が個人に対し非公開で送ったものだった。(c)AFP