【5月26日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は25日、ウクライナ南部のヘルソン(Kherson)、ザポリージャ(Zaporizhzhia)両州の住民を対象に、ロシア国籍の取得手続きを簡素化する大統領令に署名した。

 ロシア軍は現在、ヘルソン州全域とザポリージャ州の一部を支配。ロシア政府と親ロシア派当局者は、両州がロシアに編入する可能性に言及している。

 ロシアが任命したヘルソン州当局幹部のキリル・ストレモウソフ(Kirill Stremousov)氏は国営ロシア通信(RIA)に対し、国籍取得手続きの簡素化はロシアが「永久にここにとどまる」ことを示していると語った。

 手続きの簡素化により、申請でこれまで必要とされてきたロシア居住歴や資金の証明、ロシア語試験の要件が撤廃される。ストレモウソフ氏によると、申請は3か月以内に処理される見通しで、ヘルソン州ではすでにロシアのパスポートを発給する施設の設置が始まっているという。

 ウクライナは、プーチン氏の大統領令に反発。同国外務省は声明で、ロシアによるパスポート発給は違法であり、「ウクライナの主権と領土保全、国際人道法の規範と原則に対するはなはだしい違反」だと非難した。

 ロシアは2019年にも、ウクライナ東部のドネツク(Donetsk)、ルガンスク(Lugansk)両州にある親ロ派支配地域の住民を対象に、国籍取得を簡素化。両州ではすでに数十万人の住民がロシアのパスポートを取得している。

 ヘルソン州当局は23日、ウクライナの通貨フリブナと並行しロシア通貨ルーブルの流通を開始。ザポリージャ州の一部でも25日、ロシアに任命された当局が同様の措置を発表した。(c)AFP