【5月24日 東方新報】宇宙探査事業を精力的に展開している中国が、2023年に同国初の宇宙望遠鏡を打ち上げる計画を進めている。10億個以上の銀河を観測し、宇宙の構造を分析する一助とする。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)国家天文台副台長で中国宇宙ステーション望遠鏡科学活動共同センター長の劉継峰(Liu Jifeng)氏は「宇宙望遠鏡はバス1台分の大きさとなる。口径は2メートルで米国のハッブル宇宙望遠鏡と同程度だが、視野は350倍広くなる」と説明する。

 宇宙望遠鏡は当初、年内に完成予定の中国の宇宙ステーション「天宮(Tiangong)」に設置する予定だったが、観測が制限されるため、天宮と同じ軌道上を単独飛行することにした。設計寿命は10年。天宮とドッキングしてメンテナンスや補給を行い、使用期間を延長することも視野に入れている。

 中国宇宙ステーション望遠鏡科学データ責任科学者の李然(Li Ran)氏は「宇宙望遠鏡の主要任務は、暗黒物質や暗黒エネルギーとはどんなものか、銀河はどのように変化するかといった宇宙の最も基本的な問題を解き明かし、人類の宇宙理解に貢献することです。観測した画像はデジタル化し、全世界の科学者は研究に利用できます」と語る。

 中国宇宙ステーション望遠鏡巡天光学施設責任科学者の詹虎(Zhan Hu)氏も「超大質量のブラックホールによる物質の飲み込みの観測や、暗い太陽系外惑星を撮影して新しい天体を発見できる可能性がある」と説明。「中国はすでに『宇宙大国』となっているが、宇宙天文学の分野では遅れている。この望遠鏡が人々をわくわくさせる発見をもたらし、人類の宇宙への認識を一新することを期待している」と語った。

 米航空宇宙局(NASA)は昨年12月、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機となるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space TelescopeJWST)を打ち上げ、今年5月9日に4基の観測機器の調整を完了した。夏から正式に運用を始める。宇宙誕生から2億年後の136億年前、宇宙で最も早く輝き始めた「ファーストスター」の観測を目指す。今後、米中の「宇宙観測レース」の時代が到来することになる。(c)東方新報/AFPBB News